いつもピラティススタジオアコアをご利用いただき、どうもありがとうございます。アコアトレーナーの船引怜美です。
「バレリーナ」と言う言葉から、思い浮かぶイメージとはなんでしょう?「細く、しなやかで、すらりと伸びた長い手脚、きれいな脚のライン、引き締まった身体、柔軟な身体。。。」など、多く挙げられると思います。女性ダンサーだけでなく、男性バレエダンサーをイメージしても高いジャンプや目が回るような回転技などを軽々とこなし、王子様のイメージをそのまま描き出す軽やかさ。でも同時に女性ダンサーをふわっと持ち上げる力強さもイメージできます。
では高くジャンプをし、回転技や時にはアクロバットな技も舞台でこなし、女性も軽々と上げるダンサーは、体操選手や格闘家のようにムキムキした筋肉でしょうか?女性ダンサーも、細くしなやかで引き締まった身体は、ファッションモデルのような身体でしょうか?
バレエダンサーに求められる身体能力は、アスリートと同じと言われます。
筋力、柔軟性、持久力、瞬発性、すべてにおいてスポーツ選手と同じようなレベルが求められます。日々のレッスン、リハーサル、そして舞台、その間にトレーニングや他の仕事、プロのバレエダンサーは、この生活が毎日続きます。大きなバレエ団に所属していれば年間150公演以上などをこなしているといいます。その中で要求される身体的負担からダンサーの約9割がケガや故障を経験していると言われます。まさにケガとの常に隣りあわせの中、活動をしています。そのため、欧米ではダンサーの教育やダンサーの活動において、ピラティスのその効果と重要性は1980年代から医学的・科学的に多く研究され、ピラティスは非常に多くのバレエ学校やバレエ・カンパニーでダンサーの身体を鍛える手助け、整える手助けとしてなくてはならないものとして重要な役割を担っています。
科学的研究では、ダンサーにとってピラティスは、柔軟性、筋力(主に体幹の安定性・腹筋力)、ジャンプ力、バランス、姿勢の向上に効果があると報告されています。またバレエ学校・ダンス専門学校などでは身体に対する知識や理解を高め、基礎的な身体を作り上げるために広く取り入れられています。また、ケガ予防やリハビリとしても大いに活用され、欧米では医師・理学療法士・マッサージなどのセラピストとの協力でピラティスをはじめ様々な補助的トレーニングや身体調整プログラムが取り入れられています。
では、なぜピラティスなのでしょうか?ウェイトトレーニングではその効果は得られないのでしょうか?
普通では考えられない柔軟性が求められるバレエダンサーにとって体幹の安定は動きや表現力、テクニックの向上のみならず怪我予防のためにも非常に重要となります。しかしダンサーに求められる美的身体的イメージとバレエ特有の柔軟性のためにはボディビルダーや格闘家のようなムキムキの筋肉を付けるわけにはいきません。ダンサーは細くしなやかであり、究極の柔軟性を兼ねそなえた上で強くなくてはならない。
そんな矛盾を可能にするのがピラティスです。
ピラティスの動きの基本は、筋肉を短く縮めることで鍛えるのではなく、負荷に対して筋肉を出来る限り縮めず長い状態を保ちコントロールしながらそのサポート力や筋持久力そして筋力を高めていきます。
同じく美的容姿を考えながらトレーニングをしなくてはならない女優やモデルがトレーニングとしてピラティスを取り入れるのもこの理由が大きいのではないでしょうか。
ピラティスの最大の特徴は、体幹の安定を築きその上で四肢を長くそして強く柔軟に鍛え、身体の様々な関節の可動域を広げと動きのコーディネーションを高めること。その特徴そのものがバレエの動きに求められる要素になります。日本ではまだまだピラティスの潜在的能力とその重要性を多くのダンサーの方々に伝わりきっていないのが現状な気がします。だからこそアコアでは一人でも多くのダンサーのサポートができればと強く願っています。