ピラティススタジオアコアをご利用いただき、誠にありがとうございます。トレーナーの船引怜美です。
ピラティスのマシンで、最も大きな存在感を示しているのがトラピーズテーブル。通称キャディラック。アメ車のキャディラックのように大きくていろんな装備が整っているからという由来だそうです。ジョセフ・ピラティス氏が最初に考案したマシンの一つと言われています。
その構造はまるで天蓋付きベッドのよう。ベッドの周りにフレームが立てられ、そのフレームには幾つものスプリング(バネ)やバーを吊るすための穴が作られています。バネの他には、空中ブランコのようなTrapezeトラピーズ、フレームに取り付けられたPush Through Barプッシュスルーバーなどが備えられています。
このマシンの起源は病院のベッドと言われています。ピラティス氏は戦争で負傷した兵士がリハビリを行うために病院のベッドを改造してしまったと言われています。そのため、負傷した箇所に負荷をかけることない状態・姿勢での下肢や上肢の動きが可能になり、怪我のリハビリや身体への強い負荷をかけることの出来ない状態でもトレーニングをすることを可能にしました。他のピラティスマシン、リフォーマーやチェアーよりも特に安定感が高い為、このトラピーズテーブルはどのようなレベルにおいても活用されます。
【トラピーズテーブル(キャディラック)の特徴】
スプリング(バネ)
ジムのマシンで言えば重り(ウェイト)に相当するものが、ピラティスのマシンではスプリング(バネ)になり、スプリングは負荷にも支えにもなります。トラピーズテーブルでは6種の異なる強さ・長さのスプリングをエクササイズや目的に応じてその使用するスプリングの数と種類を調整し使用していきます。スプリングの特性である伸び縮みによって強さが変わる性質を生かし、筋肉の収縮に応じて序々に負荷をかけることができます。このため、筋線維のみならず腱や靭帯に対して急激で過度な負担をかけずに動くことができます。
3Dに身体を鍛える
ベッドの周りを囲う支柱の様々なポイントからスプリングを使用することができるため、普段意識することのないような細部の筋肉を様々な方向(3次元)に可動域を広げながらトレーニングすることができます。ただ可動域を広げるだけではなく、スプリングの負荷に対して身体を安定しながら動きを行うことで体幹や身体の軸を鍛えながら可動域を広げ、安定性と柔軟性を同時に鍛えることが出来ます。
エクササイズバリエーションもリフォーマーと同じくらいに豊富にあり、基礎的なものからかなりアクロバットなものまで多岐に渡ります。
私自身個人的にはリフォーマーよりトラピーズテーブルの方が好きで、インストラクター養成コース生の頃はよく「トラピーズテーブルはRemiの部屋」って言われるくらい、ずっとその上で時間を過ごしていました。ピラティスの基礎を築くのはやはりトラピーズテーブルではないかと思っています。落ち着いて呼吸やコア・センターの安定性の重要性を噛み締めながら、様々な部位の可動性や使い方・動かし方をじっくり意識して動く。その作業ができるのはトラピーズテーブルなのではないかなとトラピーズテーブル贔屓の私は思っています。